のどの痛みは、いろいろな原因で起きますが、場所別にみるのがわかりやすいです。自分の口を鏡で見ると、口をあけてすぐ真正面に見えるのが、真ん中の口蓋垂(のどちんこ)と、左右の扁桃腺(正式には口蓋扁桃)です。扁桃が赤くはれていたり、膿がついていれば、扁桃炎や、扁桃周囲膿瘍などが考えられます。
のどの突き当りが咽頭後壁です。ここが赤くはれていれば、咽頭炎です。専門的には、後壁以外に側壁、前壁、軟口蓋などを含めて咽頭なのですが、話を簡単にするために、このように書きました。
この口腔は、外傷(箸、金属などが刺さるとか。)を負ったり、熱傷(飲み物、食べ物などによる。)したり、異物(魚の骨など)が刺さったりすることもあります。
そのほか、感染症として口内に症状を現わすものとして、スピロヘータ(梅毒)、淋菌感染症、クラミジア感染症、結核などがあります。
また、もちろん癌などによる痛みもあります。そのほか、胃酸逆流によっても痛みが生じます。
特殊なものとしては、耳の後ろから伸びた骨がのどにあたって痛みを生じる茎状突起過長症があります。
また、のどの痛みを感じる神経の神経痛による、舌咽神経痛もあります。
声帯の異常により、起きることが多いです。
3週間以内が急性咳嗽、3-8週間未満が遷延性咳嗽、8週間以上が慢性咳嗽といいます。
原因疾患 | 咳嗽の性状 | 咳嗽の持続 | 特異的治療法 |
---|---|---|---|
1. 感染後咳嗽 | 乾性 | 遷延性 | なし(対症的) |
2. 咳喘息 | 乾性 | 急性~慢性 | 気管支拡張療法、吸入ステロイド療法 |
3. アトピー咳嗽 | 乾性 | 急性~慢性 | ヒスタミンH1受容体拮抗薬、吸入ステロイド療法 |
4. 副鼻腔気管支症候群 (び浸性気管支拡張症など) |
湿性 | 急性~慢性 | 14,15員環マクロライド療法、去痰薬 |
5. 亜急性細菌性副鼻腔炎 | 咳払い | 急性~遷延性 | 抗菌薬 |
6. 百日咳 | 乾性 | 急性~遷延性 | 抗菌薬* |
7. 肺炎クラミジア | 急性~遷延性 | 抗菌薬* | |
8. マイコプラズマ | 急性~遷延性 | 抗菌薬* | |
9. 胃食道逆流性 | 乾性 | 急性~慢性 | プロトンポンプ阻害薬、食事指導 |
10. 心因性・習慣性咳嗽 | 乾性 | 急性~慢性 | 心療内科的治療 |
11. 薬剤性 | 乾性 | 急性~慢性 | 原因薬剤の中止 |
12. 慢性気管支炎 | 湿性 | 急性~慢性 | 禁煙または刺激物質の除去・回避 |
13. 後鼻漏症候群 | 咳払い** | 急性~慢性 | 鼻・副鼻腔の治療 |
14. 気管・気管支の腫瘍 | 不定 | 急性~慢性 | 摘出、摘除 |
15. 気管・気管支の結核 | 不定 | 急性~慢性 | 抗結核化学療法 |
16. 気道内異物 | 不定 | 急性~慢性 | 摘出、摘除 |
17. 間質性肺炎 | 乾性 | 急性~慢性 | なし(対症的) |
18.その他の稀な疾患・原因 |
*すでに抗菌薬が投与されている場合には特異的治療はなく、対症療法となる。
**欧米では、乾性咳嗽を呈すると報告されている。
嚥下とは水分や食物を飲み込み口からのどを通って食道・胃へ運ぶことで、これがうまくできなくなることを嚥下障害といいます。
しかし、嚥下障害は診断がつけにくい場合が多く、状態が変化します。食事をしてよいか、よくてもどういう食事内容か、リハビリをどうするか、などを決めるのに嚥下内視鏡や嚥下造影検査が必要です。
まず食物があることを認識することから始まり、一連の嚥下関連筋群の動きが始まります。
顕性誤嚥と不顕性誤嚥の2種類があります。
誤嚥の確認が困難なもの。症状が軽く、嚥下造影検査でも明らかな誤嚥を指摘できない。唾液の気管内侵入と肺への垂れ込み、胃食道逆流などが原因のことが多い。意外と日常の摂食嚥下機能は正常のことも多い。
口腔衛生や、睡眠時の頭部拳上などが大事。絶食していても、唾液などの誤嚥がありうる。
誤嚥性肺炎は、高齢者の死亡原因として非常に多いものです。肺炎予防にリハビリをしたり、食物にとろみをつけて誤嚥しにくくしたり、口腔ケアーにより誤嚥しても口内の菌が少ない状態を作ったりいろいろ工夫されています。
口蓋扁桃に細菌やウイルスが感染しておきる炎症。扁桃の発赤、腫脹、疼痛、嚥下痛、発熱、経口摂取障害などを伴います。
溶連菌が感染した場合、扁桃の細胞内に菌が存在し、抗菌薬を使用しても、実際にはほとんど細胞内の菌を殺菌できないので再発し、習慣性扁桃炎になることが多いです。
治療は、抗菌薬、鎮痛剤など。
急性扁桃炎が悪化し、扁桃の背面筋層との間に膿がたまり、扁桃周囲膿瘍 になると、扁桃が後方から前内方に押し出され、口内を閉塞し、呼吸困難、激しい疼痛、摂食不能となり、緊急入院して扁桃周囲膿瘍切開または、穿刺による排膿が必要になります。また、深頚部膿瘍を生じ緊急手術が必要になる場合があります。
咽頭喉頭の急性炎症で、咳、のどの痛み、嗄声、呼吸困難などをきたします。
急性咽喉頭炎が悪化し、声帯やその周りの腫れむくみを生じると声帯が腫脹し呼吸困難となり、窒息の危険性があります。緊急挿管や緊急気管切開を必要とすることがあります。
また、喉頭蓋に炎症が波及し、急性喉頭蓋炎となり窒息の危険性があります。緊急挿管や緊急気管切開を必要とすることがあります。
抗生剤、ステロイド、補液、対症療法など。気管切開を必要とすることがあります。
喉頭蓋に炎症が及び図のように腫大すると、声帯の上にかぶさって呼吸困難を起こします。
抗生剤、ステロイド点滴、緊急の場合気管切開など。