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症状別治療

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のどの症状

のどの痛み(原因別)

のどの写真

のどの痛みは、いろいろな原因で起きますが、場所別にみるのがわかりやすいです。自分の口を鏡で見ると、口をあけてすぐ真正面に見えるのが、真ん中の口蓋垂(のどちんこ)と、左右の扁桃腺(正式には口蓋扁桃)です。扁桃が赤くはれていたり、膿がついていれば、扁桃炎や、扁桃周囲膿瘍などが考えられます。

のどの突き当りが咽頭後壁です。ここが赤くはれていれば、咽頭炎です。専門的には、後壁以外に側壁、前壁、軟口蓋などを含めて咽頭なのですが、話を簡単にするために、このように書きました。
この口腔は、外傷(箸、金属などが刺さるとか。)を負ったり、熱傷(飲み物、食べ物などによる。)したり、異物(魚の骨など)が刺さったりすることもあります。
そのほか、感染症として口内に症状を現わすものとして、スピロヘータ(梅毒)、淋菌感染症、クラミジア感染症、結核などがあります。
また、もちろん癌などによる痛みもあります。そのほか、胃酸逆流によっても痛みが生じます。
特殊なものとしては、耳の後ろから伸びた骨がのどにあたって痛みを生じる茎状突起過長症があります。
また、のどの痛みを感じる神経の神経痛による、舌咽神経痛もあります。

声がれ、声が出ない(嗄声・失声)

声帯の異常により、起きることが多いです。

原因

  • 1. 声帯の炎症 …急性喉頭炎、声帯の酷使による急性炎症、喫煙
  • 2. 声帯の器質的障害(ものが出来たりする場合) …声帯ポリープ、声帯結節、ポリープ様声帯、喉頭乳頭腫、喉頭白斑症、喉頭癌
  • 3. 声帯の運動麻痺(動かなくなる場合) …反回神経麻痺(腫瘍浸潤による場合、特発性、大動脈瘤による圧迫 等)
  • 4. けいれん性発声障害(声帯がけいれんし、しゃべれなくなる) 
  • 5. 萎縮性病変(声帯がやせてしまい、声がでにくくなる) …声帯溝症、反回神経麻痺による声帯萎縮
  • 6. 機能的障害 心因性(心理的なもので、声帯は、実はちゃんと動く)の失声

せき(咳嗽)

3週間以内が急性咳嗽、3-8週間未満が遷延性咳嗽、8週間以上が慢性咳嗽といいます。

咳嗽グラフ

急性咳嗽の原因疾患

1. 胸部X線で異常を認める重篤な疾患
  • a.心血管系疾患:肺血栓塞栓症、うつ血性心不全
  • b.感染症:肺炎、胸膜炎、肺結核
  • c.悪性腫瘍:原発性・転移性肺腫瘍
  • d.免疫アレルギー的機序:各種間質性肺疾患
  • e.気胸
2. 胸部X線で異常を認めない場合のある感染症疾患
普通感冒、急性気管支炎、マイコプラズマ感染、クラミジア感染、百日咳、インフルエンザウイルス感染、慢性気道疾患急性憎悪、急性副鼻腔炎、RSウイルス感染、ヒトメタニューモウイルス感染
3. 遷延性・慢性咳嗽の原因疾患の初発
気管支喘息、咳喘息、アトピー咳嗽、鼻副鼻腔炎、胃食道逆流性、ACE阻害薬
4. 健常成人ではまれな疾患
誤嚥、気道内異物など

遷延性・慢性咳嗽の原因

原因疾患 咳嗽の性状 咳嗽の持続 特異的治療法
1. 感染後咳嗽 乾性 遷延性 なし(対症的)
2. 咳喘息 乾性 急性~慢性 気管支拡張療法、吸入ステロイド療法
3. アトピー咳嗽 乾性 急性~慢性 ヒスタミンH1受容体拮抗薬、吸入ステロイド療法
4. 副鼻腔気管支症候群
(び浸性気管支拡張症など)
湿性 急性~慢性 14,15員環マクロライド療法、去痰薬
5. 亜急性細菌性副鼻腔炎 咳払い 急性~遷延性 抗菌薬
6. 百日咳 乾性 急性~遷延性 抗菌薬*
7. 肺炎クラミジア 急性~遷延性 抗菌薬*
8. マイコプラズマ 急性~遷延性 抗菌薬*
9. 胃食道逆流性 乾性 急性~慢性 プロトンポンプ阻害薬、食事指導
10. 心因性・習慣性咳嗽 乾性 急性~慢性 心療内科的治療
11. 薬剤性 乾性 急性~慢性 原因薬剤の中止
12. 慢性気管支炎 湿性 急性~慢性 禁煙または刺激物質の除去・回避
13. 後鼻漏症候群 咳払い** 急性~慢性 鼻・副鼻腔の治療
14. 気管・気管支の腫瘍 不定 急性~慢性 摘出、摘除
15. 気管・気管支の結核 不定 急性~慢性 抗結核化学療法
16. 気道内異物 不定 急性~慢性 摘出、摘除
17. 間質性肺炎 乾性 急性~慢性 なし(対症的)
18.その他の稀な疾患・原因

*すでに抗菌薬が投与されている場合には特異的治療はなく、対症療法となる。
**欧米では、乾性咳嗽を呈すると報告されている。

食事や水を飲むときのむせ(嚥下障害)

嚥下とは水分や食物を飲み込み口からのどを通って食道・胃へ運ぶことで、これがうまくできなくなることを嚥下障害といいます。
しかし、嚥下障害は診断がつけにくい場合が多く、状態が変化します。食事をしてよいか、よくてもどういう食事内容か、リハビリをどうするか、などを決めるのに嚥下内視鏡や嚥下造影検査が必要です。

嚥下障害だと、どうなるのか

  • 栄養が取れない。水分が取れない。⇒体重減少。栄養不良。病気になりやすくなる。
  • むせて、肺に食物や水分が入り肺炎になる。
  • 食べるという楽しみがなくなる!

誤嚥の症状

  • 声の変化
    声の変化
  • 痰の量の増加
    痰の量の増加
  • 咽頭違和感・食物残渣感
    咽頭違和感
    食物残渣感
  • 咳が出る
    咳が出る
  • むせ
    むせ
  • やせ・体重の変化
    やせ・体重の変化
  • 食欲の低下
    食欲の低下
  • 食事内容・好みの変化
    食事内容・好みの変化
  • 食事時間の食べ方の変化
    食事時間の食べ方の変化

嚥下の流れ

嚥下の流れ

まず食物があることを認識することから始まり、一連の嚥下関連筋群の動きが始まります。

  • ①食べ物の認知(認知期)
  • ②口への取り込み
  • ③咀嚼と食塊形成(準備期)
  • ④咽頭への送り込み(口腔期)
  • ⑤咽頭通過(嚥下反射、咽頭期)
  • ⑥食道通過(食道期、蠕動期)

誤嚥の評価法

のどの動きが見えないまま行うテスト
反復唾液嚥下テスト、水飲みテスト、フードテスト
特別な器具が不要。ベッドサイドでできる。血中酸素飽和度測定や内視鏡と組み合わせると、精度が上がる。
のどの動きを見ながら行うテスト
嚥下内視鏡検査(VE)±着色水併用 嚥下造影検査(VF)

誤嚥の種類

顕性誤嚥と不顕性誤嚥の2種類があります。

1.顕性誤嚥
A. 喉頭拳上期型誤嚥
B. 喉頭下降期型誤嚥
C. 混合型誤嚥
喉頭の拳上期と下降期の両方で誤嚥するもの。
D. 嚥下不能型誤嚥
有効な嚥下反射、嚥下運動、気道防衛反射が全く起きず、咽頭に流入したほとんどの食塊が気道内へ誤嚥する。広範な脳血管障害や進行した筋委縮性側索硬化症、重度のパーキンソン病などで生じる。
2.不顕性誤嚥

誤嚥の確認が困難なもの。症状が軽く、嚥下造影検査でも明らかな誤嚥を指摘できない。唾液の気管内侵入と肺への垂れ込み、胃食道逆流などが原因のことが多い。意外と日常の摂食嚥下機能は正常のことも多い。
口腔衛生や、睡眠時の頭部拳上などが大事。絶食していても、唾液などの誤嚥がありうる。

誤嚥の原因疾患

1.感覚入力障害
1)感覚受容器の障害:加齢 放射線・化学療法、熱傷、手術
2)感覚神経の障害:外傷、悪性腫瘍浸潤、手術
2.中枢性障害
1)脳血管障害:球麻痺、仮性球麻痺
2)変性・炎症性疾患:パーキンソン病、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群
3)その他:脳性まひ、腫瘍、外傷、手術
3.運動神経および嚥下関連筋の障害
1)運動神経筋委縮性側索硬化症、外傷、悪性腫瘍の浸潤、手術
2)神経筋接合部の障害:重症筋無力症
3)嚥下関連筋の障害:筋ジストロフィー、多発性筋炎、ミオパチー、手術、加齢
4.嚥下器官の器質的障害
1)内部病変:腫瘍、嚢胞、異物、憩室、咽頭粘膜乾燥、手術等による狭窄
2)外部病変:甲状腺腫、縦隔腫瘍、Forestier病、頚部や食道の癒着・瘢痕、喉頭下垂

嚥下機能に影響のある薬剤

中枢神経系へ鎮静作用のあるもの(嚥下反射遅延)
major・minor tranquilizer、抗痙攣剤
平滑筋・骨格筋の機能障害を起こすもの
抗コリン剤、三環系抗うつ剤、Ca拮抗薬
下食道括約筋の緊張を低下させるもの
ドパミン、アトロピン
口腔・頸部・四肢体幹の不随意運動を来すもの
major tranquilizer、抗パーキンソン薬
口腔乾燥を引き起こすもの
利尿剤、三環系抗うつ剤、交感神経遮断薬、major tranquilizer、抗ヒスタミン剤

誤嚥の対策

誤嚥性肺炎は、高齢者の死亡原因として非常に多いものです。肺炎予防にリハビリをしたり、食物にとろみをつけて誤嚥しにくくしたり、口腔ケアーにより誤嚥しても口内の菌が少ない状態を作ったりいろいろ工夫されています。

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のどの疾患

急性扁桃炎

急性扁桃炎

口蓋扁桃に細菌やウイルスが感染しておきる炎症。扁桃の発赤、腫脹、疼痛、嚥下痛、発熱、経口摂取障害などを伴います。

溶連菌が感染した場合、扁桃の細胞内に菌が存在し、抗菌薬を使用しても、実際にはほとんど細胞内の菌を殺菌できないので再発し、習慣性扁桃炎になることが多いです。
治療は、抗菌薬、鎮痛剤など。

扁桃周囲膿瘍

扁桃周囲腫瘍

急性扁桃炎が悪化し、扁桃の背面筋層との間に膿がたまり、扁桃周囲膿瘍 になると、扁桃が後方から前内方に押し出され、口内を閉塞し、呼吸困難、激しい疼痛、摂食不能となり、緊急入院して扁桃周囲膿瘍切開または、穿刺による排膿が必要になります。また、深頚部膿瘍を生じ緊急手術が必要になる場合があります。

急性咽喉頭炎

急性咽頭炎

咽頭喉頭の急性炎症で、咳、のどの痛み、嗄声、呼吸困難などをきたします。

急性咽喉頭炎が悪化し、声帯やその周りの腫れむくみを生じると声帯が腫脹し呼吸困難となり、窒息の危険性があります。緊急挿管や緊急気管切開を必要とすることがあります。
また、喉頭蓋に炎症が波及し、急性喉頭蓋炎となり窒息の危険性があります。緊急挿管や緊急気管切開を必要とすることがあります。

治療

抗生剤、ステロイド、補液、対症療法など。気管切開を必要とすることがあります。

急性喉頭蓋炎

急性咽頭蓋炎

喉頭蓋に炎症が及び図のように腫大すると、声帯の上にかぶさって呼吸困難を起こします。

治療

抗生剤、ステロイド点滴、緊急の場合気管切開など。

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