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症状別治療

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鼻の症状

鼻水(鼻漏)

いろいろな原因で鼻漏(鼻汁)がでます。鼻漏とは、鼻の組織に由来する鼻液に涙や、呼気が凝集した水分が加わったものです。鼻液は、鼻粘膜より分泌されます。
鼻汁の性状によって原因を推定できます。

水様性鼻汁
アレルギー性鼻炎、急性鼻炎で見られます。また、紛らわしいですが、鼻副鼻腔・頭部手術後に脳脊髄液が漏れ出てくる髄液漏もあります。髄液漏は、先天性のこともあります。
粘性、膿性鼻汁
急性慢性副鼻腔炎で見られます。後鼻漏を伴うことがあります。

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鼻からのどへ何か落ちてくる感じ(後鼻漏)

後鼻漏は、固有鼻腔・副鼻腔由来の鼻液に涙液や呼気から凝集した水が加わったもの。
鼻の奥から、のどへおりてきます。のどの後壁を伝って喉仏の辺りの食道入口部で溜まると、「痰」と思われたりします。本来の痰は、肺や気管から出たものです。
後鼻漏が多くなると、「のどの奥や鼻の上にねばいものが溜まっている。」と言われます。
原因として、急性副鼻腔炎慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎、花粉症、等があります。
治療は、原因別になります。

診断

鼻内所見、ファイバー下の鼻咽喉頭の精査や、CTやMRIによる画像診断

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鼻血(鼻出血)

原因不明の特発性鼻出血と、原因の明らかな、症候性鼻出血があります。
鼻腔は、外頚動脈と内頚動脈の両方から血液供給があり、キーゼルバッハ部位という鼻中隔の前端の辺りは、特に血流豊富で出血しやすいです。

原因

炎症性疾患
感冒、アレルギー性鼻炎急性慢性副鼻腔炎などで、鼻をかむ、くしゃみをする等でキーゼルバッハ部位から出血しやすいです。こどもは、鼻をほじったりして、同じく出血しやすいです。
また、こどもの鼻腔内異物も原因となります。
腫瘍
出血性鼻茸、血管腫、上顎癌、悪性リンパ腫等、良性悪性腫瘍からの出血があります。
上咽頭(鼻の後方、のどの上)から、アデノイド、上咽頭線維腫からの出血もあります。
その他
鼻副鼻腔の術後出血など。
全身性
【循環器疾患】 高血圧、動脈硬化、出血性毛細血管拡張症、抗凝固剤による鼻出血
【血液疾患】 白血病、特発性血小板減少性紫斑病、血友病
その他、肝疾患による出血傾向などがあります。

診断

鼻鏡検査や内視鏡により出血部位を確定します。

治療

出血点の鼻粘膜焼灼、軟膏ガーゼ挿入による圧迫止血、これらで止血できないときや、出血点が不明なときは、後鼻腔に止血用バルーンやガーゼを詰めて、鼻内に軟膏ガーゼを充填し止血する方法もありますが、この場合は、入院が必要になります。
また、原因となる動脈の結紮や塞栓術をおこなうこともあります。

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鼻づまり(鼻閉)

鼻入口部から鼻咽腔までの疾患により、鼻呼吸スペースの狭窄が生じるため、鼻閉感を生じます。一側性か両側性か、鼻出血などの随伴症状などにより、原因疾患の推定が可能です。
鼻腔ファイバーや、CT、レントゲンなどの検査が必要になることもあります。

片側性鼻閉
異物(両側は、まれ)、片側性急性副鼻腔炎、副鼻腔嚢胞(鼻の手術の後が多い。)上顎洞真菌症、外傷による骨折(鼻骨、副鼻腔、鼻中隔)、鼻中隔湾曲症、良性・悪性腫瘍(ファイバーやCT、生検などで診断確定します。)
両側性鼻閉
アデノイド(小児)、急性慢性鼻副鼻腔炎アレルギー性鼻炎、降圧薬の副作用

随伴症状

鼻漏
急性慢性副鼻腔炎では、水様性―粘膿性を呈する。アレルギー性鼻炎単体では、水様性。血性の場合、鼻出血以外に悪性腫瘍の可能性があります。
疼痛
頬部痛、歯痛、鼻根部痛、前額部痛は、副鼻腔炎で副鼻腔に膿貯留している場合は、副鼻腔開大処置で排膿が必要なことが多いです。もちろん歯原性嚢胞など歯が原因の場合もあります。そのほか、上顎骨折、上顎癌などもあります。

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匂いが分からない、変なにおいがする(嗅覚障害)

嗅覚障害

嗅覚障害は、ありもしない臭いや、違う臭いに感じてしまうと言う嗅覚の質的異常です。
嗅感覚異常と区別するために、嗅覚低下、嗅覚脱出という臭いを嗅ぐ力が弱くなったりなくなったりするものを嗅力異常といいます。
臭いは、鼻の天井部である天蓋部から、鼻中隔上部に分布している嗅細胞の感覚端末で感知されます。

嗅力異常の分類と原因

臭いが鼻閉などにより嗅細胞感覚端末まで届かなければ、臭いはしません。これを呼吸性嗅覚障害と言います。
インフルエンザ、副鼻腔炎などで嗅細胞感覚端末が傷害されて臭いを感知できない場合を、末梢神経性嗅覚障害といいます。
脳腫瘍、アルツハイマー病、パーキンソン病など脳内疾患によるものを、中枢性嗅覚障害と言います。

呼吸性嗅覚障害の原因
アレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲症、肥厚性鼻炎、慢性副鼻腔炎
末梢神経性嗅覚障害の原因
慢性副鼻腔炎、感冒罹患後、薬剤性、頭部外傷
中枢性嗅覚障害の原因
頭部外傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳腫瘍
原因不明
加齢性変化

治療

治療は、それぞれの原因によります。また、ステロイドの点鼻を行います。

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ほっぺたの腫れ(頬部腫脹)

原因

表面から顔面骨まで分けてみると、

皮膚筋肉
蜂窩織炎
鼻副鼻腔
副鼻腔炎、術後性上顎嚢胞、腫瘍として良性腫瘍や上顎癌
歯牙
歯根嚢胞、おやしらず

などがあります。内視鏡、CT、視診などで原因を確定します。

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くしゃみ

鼻の粘膜に、アレルゲンや、大気汚染物質、機械的刺激(くすぐる等)、冷気などの刺激があると反射運動で起きます。鼻粘膜から三叉神経を介し延髄のくしゃみ中枢から呼吸筋、後頭筋、顔面筋などに指令が行きくしゃみが出ます。異物を排出しようとする反応と解釈できます。
長期間持続していれば、アレルギー性鼻炎を疑います。季節性があれば、花粉症を疑います。
風邪の時も急性鼻炎を生じて、くしゃみが出ます。

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いびき・睡眠時無呼吸症候群

いびきは、鼻から吸った空気がのどを通って気管・肺へ十分量届かない時、生じます。口呼吸になり、口を出入りする気流によって軟口蓋や、口蓋垂、舌根などが振動して、音がでます。いわゆる上気道の狭窄によるものです。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に無呼吸または、低呼吸になり睡眠が十分とれず、昼間耐え難い眠気に襲われ日常生活が傷害される病態です。大きないびき、睡眠時無呼吸などの症状があります。高率に高血圧、肥満、虚血性心疾患、糖尿病等を伴い生活習慣病の一つとして考えられています。原因として閉塞性睡眠時無呼吸と中枢性睡眠時無呼吸の2つに分類されます。閉塞性睡眠時無呼吸は、上気道の狭窄によるものです。中枢性睡眠時無呼吸は、脳血管障害、重症心不全などによる呼吸中枢の障害で呼吸の消失を来すものです。

原因

小児では、アデノイドや口蓋扁桃の肥大がほとんどです。
成人では、肥満(舌根咽頭組織内に脂肪沈着→気道狭窄)、加齢(気道周囲の筋力や組織の弾力低下により、気道が閉塞しやすくなる)、扁桃肥大、軟口蓋形態異常、鼻閉、アルコール摂取などが単独または複合して原因となります。
その他に、甲状腺機能低下症、小顎症、巨舌、後鼻腔ポリープ、腫瘍など上気道を狭小化するものすべてが原因となります。声門部狭窄による睡眠障害として、両側反回神経麻痺、Shy-Drager 症候群もいびきを生じます。

検査

  • 睡眠ポリグラフ検査(睡眠中ずっと、脳波、呼吸、酸素飽和度、心電図、体位などを記録)
  • 鼻腔・咽喉頭の所見(窄部位の精査)
  • 鼻腔通気度検査
  • 上咽頭側面X線撮影など

治療

手術
小児のアデノイド切除術、扁桃摘出術。アデノイド扁桃肥大によるいびき・睡眠時無呼吸には、非常に有効です。
成人には、口蓋垂口蓋咽頭形成術、口蓋扁桃摘出術、鼻中隔矯正術などの鼻内手術などを適用があれば行います。
保存的療法
減量、CPAP(マスクをつけ、加圧した空気を鼻から送り狭窄部を通理超える。)下顎プロテーゼなどを単独または、組み合わせて行います。

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鼻の疾患

アレルギー性鼻炎

鼻粘膜のⅠ型アレルギー疾患。

3主徴

くしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉

診断

○3主徴があります。

検査

  • ○鼻汁好酸球検査
  • △皮膚テスト(抗原に感作させる危険性がある。あまり実施されない。)
  • または、○血清特異的 IgE 抗体検査
  • △誘発テスト(既存のものは、ハウスダストとヨモギのみ。)

所見

鼻内に水様性鼻汁、蒼白浮腫状の粘膜
薬剤の影響が大きく、抗ヒスタミン剤、ステロイド薬、などで症状が出なくなっていることがあります。
皮膚テストなどのアレルギー検査の前に、1W以上抗ヒスタミン剤などの中止が必要です。

治療

  • 抗ヒスタミン剤
  • ステロイド点鼻薬
  • 抗ロイコトリエン薬など

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急性副鼻腔炎

副鼻腔の感染症。

起炎菌
肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、モラクセラ(鼻から上向感染する中耳炎と同じ菌)など。
症状
膿性鼻漏、鼻閉、頭痛、頬部痛、眼瞼腫脹、嗅覚障害

*頭痛、頬部痛は、副鼻腔の膿貯留のサインであることが多い。
眼瞼腫脹は、篩骨洞病変の可能性がく、緊急に排膿が必要な場合が多い。
蝶形骨洞病変は、手術が必要になることが多い。

治療

  • 抗生剤
  • 抗ヒスタミン剤
  • 鎮痛剤

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慢性副鼻腔炎

副鼻腔炎が長期化したものです。

診断基準

下記の症状のうち2つ以上が12週間以上続きます。

  • ・粘膿性鼻漏
  • ・鼻閉
  • ・顔面痛、圧迫感、膨満感
  • ・嗅覚減退

加えて、下記の炎症所見のうち1つ以上認めるもの

  • ・中鼻道あるいは篩骨同領域に粘膿性鼻汁または浮腫
  • ・鼻腔あるいは中鼻道に鼻茸
  • ・X線検査で副鼻腔に炎症所見

治療

クラリシッドの長期半量投与。ただし、急性増悪したら、ペニシリン系の抗生剤。

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好酸球性副鼻腔炎

鼻茸を多発し、慢性副鼻腔炎とはかなり違う副鼻腔炎。

主要な所見

症状 早期からの嗅覚障害、鼻閉、粘ちょうな鼻汁
鼻所見 両側性、多発性鼻茸または中鼻甲介周囲の粘膜浮腫
画像所見
(CT所見)
篩骨同優位な陰影(E/M比≧1かつ篩骨洞スコア合計≧6)
前篩骨洞のみならず後篩骨洞に陰影(P/A比がおよそ1以上)
嗅裂の閉塞
副鼻腔内に高輝度の分泌物
血液検査 血液中好酸球数の増多(≧6%または≧400個/ul)

参考となる情報

  • 成人発症(多くは30歳代以降)
  • 気管支喘息の合併(アスピリン喘息や成人発症タイプ)
  • 経口ステロイドで症状が軽減
  • 好酸球性中耳炎の合併
好酸球性副鼻腔炎 従来型の慢性副鼻腔炎
症状 早期より嗅覚障害、鼻閉、粘性鼻汁など 鼻汁、後鼻漏、鼻閉など
鼻内所見 粘ちょう性分泌液、多発性鼻茸 膿性分泌液、中鼻道鼻茸
画像所見(副鼻腔陰影) 初期には篩骨洞優位 初期には上顎洞優位
血液所見 好酸球増多 特になし
アレルギー性鼻炎の合併 鼻過敏症を経験していることが多い 少ない
気管支喘息の合併 成人発症の非アトピー型が多い
アスピリン喘息、Churg-Strass症候群
少ない
マクロライド療法 効果は不明 有効
全身性ステロイド 再発例に著効 効果は不明
術後の鼻茸再発 高率 少ない
鼻茸の組織学的所見 著明な好酸球浸潤、リンパ球浸潤、基底膜肥厚 リンパ球浸潤、鼻腺の増生

治療

  1. ステロイド薬 内服と点鼻両方あります。
  2. 抗ロイコトリエン薬 ステロイドとの併用でシナージー効果があります。
  3. マクロライド 併用されることがあります。慢性副鼻腔炎に対し、気道粘膜改善効果のため使用されます。
  4. 手術:内視鏡所見の改善率は、59%(広大)。術後の薬物療法は必須。
  5. NSAIDのアレルギーに注意。(アスピリン喘息の合併)

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